珈琲の読物
はじめに
いらっしゃいませ、珈琲の読物へようこそ
ここはラボラトワ コーヒーロースタリー大滝が、コーヒーに関する事柄を経験や情報を元に纒め記す場となっています。
コーヒー業界はまだまだ新しい試みがあり、また時が経って過去に常識とされていたものに変化があったり
研究が進んだことによる新発見や実はこうだったというようなアップデートが盛んに行われています。
それと同時に、時代の移り変わりによる需要と供給の変化、技術の向上、人と珈琲の距離の変化も大きく作用し
現在のコーヒーがあります。
変わるもの、変わらないもの、趣味、嗜好その不定形なものに対応できるように
この電子的な場で、随時編纂という形でゆっくりでも記していこうと思い至り始めました。
何よりアウトプットは大事ですからね。
ですので、この場でも"今まで書かれていたものが前と違う"というようなことがあるかと思いますので
その点はご留意と容赦のほどよろしくお願いいたします。
前置きが長くなりましたが、あくまで個人的な見解、珈琲のように自身の好みで取捨選択し
楽しんでいただけるとよろしいかと思います。
◾️珈琲の好み
ーコーヒーはよくわからないという方へ
・自分の好みを大雑把に分けてみましょう。(酸味が好き/嫌い、苦味が好き/嫌い、どちらも強すぎない中間がいい等)
まずはこれだけ押さえておくと、産地銘柄気にせずお楽しみいただける機会が増えると思います。
・酸味が苦手なら深めに、苦味が苦手なら浅めに。苦手だと思っていた銘柄も焙煎度合いで大きく変わります。
・産地、銘柄、グレード等による違いはこの後の話になりますし、何より酸味、苦味の違いがわかればどんな豆にも触れられます。
・産地、品種によって酸味量の多い少ないはあり、焙煎方法でも違いは出ます。
焙煎度合いのおはなし
ー焙煎は焙煎をする人によってそれぞれの考え方があり、焙煎機の特性や環境の違いなど様々な要因が合わさって
お店それぞれの特別なコーヒーとなっていると思います。
その中で焙煎度合いも豆の色味や味の強弱に微妙な差異があり、数ある珈琲店の面白さだと思います。
以下は、大雑把にまとめたものになります。
◆浅煎りー酸を最も感じやすく、豆としての特徴も出やすい。(1ハゼ終了あたり/ミディアム)
◆中煎りー酸が弱まり、苦味が出てくる手前。バランスが良い。(1ハゼ終了から30秒前後、2ハゼ前/ハイロースト)
◆中深煎りー苦味や深さが出てくるところ。
強い個性のある豆は程よくマイルドに。(2ハゼ始まり/シティ、フルシティ)
◆深煎りー苦味が主体で、ここまでくると酸はほぼ感じられない。(2ハゼ中盤以降/フレンチ、イタリアン)
上記は目安になります。
まずは産地を気にせず
「酸味が苦手だから深めにしてみよう」
「よくわかんないから中間から飲んでみよう」
そういった単純な思考から始めてみるのもいいと思います。
また「他店ではこうだったから」というのも入り口の一つとして良いと思います。
ですが最初にお伝えしたように産地、銘柄が同じであっても ”同じ味にはならない”
ということを頭に置いておきましょう。
なぜなら、焙煎に関する嗜好、考え方、使用する焙煎機、焙煎環境が違うからです。
産地や品種、質によって持っている成分量(酸量、苦味他)なども変わってきます。
「思ってたのと違った」と思うより「ここの豆はこういう感じなんだ」と、新しい発見として見てみると
知見が広がり、良い経験、楽しい体験となり美味しいが増えていくものと思っています。
"美味しい"が増えるって嬉しいことですよね。
それらを含めてコーヒーの楽しさを味わっていただけると幸いです。
挽き目のおはなし
ーコーヒーミルは大きいもの、小さいもの、刃の材質、形状の違うものが様々なメーカーから販売されています。
同じ挽き具合でも大きな差が出る場合もあります。
基本的には粒度が細かいほど成分の抽出量は多くなり、特に高温で淹れる器具では濃く出やすくなります。
当店では ”ditting KFA903" というグラインダーを使用しています
◆超微粉ーイブリック等を使った煮出しコーヒー
(1/9番手)
◆極細挽きーエスプレッソメーカー,マキネッタ等
(3/9番手)
◆細挽きーペーパー,ネル等
(5/9番手)
◆中挽きーペーパー,ネル,ナイロン,金属,サイフォン等
(7/9番手)
◆粗挽きーパーコレータ,コーヒープレス
(9/9番手)
上記は特に利用者が多いと思う挽き目で、あくまで目安となります。
エスプレッソ用にと1番挽きをした場合、業務用エスプレッソマシンでは抽出できるものの
家庭用エスプレッソメーカーでは加圧時のパワーが足りずに抽出できないこともあります。
不安が残る場合はご相談ください。
コーヒーに決まりはございませんので、お好きな挽き目でお楽しみください。
◾️保存方法のおはなし
豆の保管方法については、コーヒーに関わっていると必ずと言っていいほど耳にする話題です。
それだけ興味のあるカテゴリであり、簡単且つ身近なこだわりの部分といえます。
私が、保管方法を聞かれた場合は
「冷暗所」
と答えてしまいます。
曖昧。
どういう事かと言いますと、前提として密封した状態で
・温度の上下が少なく且つ涼しい
・直射日光が当たらない
・湿度が低く保たれる
場所がより良いと思います。
という意味での「冷暗所」と言う訳なのです。
各家庭でこの条件に合う場所は、それこそ千差万別だと思います。
冷蔵庫は除湿剤を入れておく人もいるくらいですので、湿度が高い冷蔵庫もあるかと思いますし
開け閉めや物が多くなると、庫内温度も高まり結露の原因に繋がるのであまりおすすめしません。
湿気はコーヒー豆にとって天敵と言っても過言ではありません。
そこまで?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、そう、これは”こだわり”の部分なのです。
可能性に思い至れば、私としては考慮しなければなりません。これは楽しい部分です。
さて、ここにきて皆さんがよく耳にする「冷凍庫」のおはなし
よくおすすめされるのが冷凍庫ではないでしょうか
コーヒー豆は焙煎後香り成分を含んだ炭酸ガスを多く発生させます。
鮮度の目安としてよく話題に上がる、お湯をかけるとモコモコと膨らませるヤツですね。
実際には必ずしも鮮度に直結するわけではないので、過信は禁物なのですが
冷凍庫の温度であれば、ガスの発生を緩めることができ、更に冷凍庫内は外よりも乾燥してますので
保管場所としては冷蔵庫よりおすすめと言えます。
しかし、冷凍庫に関しても開け閉めはあるので結露に注意しなければならないのと
なにより冷凍焼けに気をつけなければなりません。
加えて
ドリップした後の豆がらを消臭剤として利用されている方も多いかと思いますが
コーヒー豆は活性炭と同じく多孔質で構造が同じく、消臭効果があります。
焙煎後、特に粉にしてしまうと香りの成分を含んだ炭酸ガスが多く排出されます
その抜けたところに、周辺環境の匂いを吸収してしまいます。
消臭剤として利用する方もいらっしゃるので、目的に合えばいいのですが
その前に香りを楽しみたいので逆効果になり困り物です。
この香りを損なう工程を助けてしまうのが湿気だと思っています。
水分は匂いも吸着するし、腐敗の原因にもなりますので。
そしてもう一つ
常温保管が必ずしも悪いと言えないという事です。
特に1日に多くのコーヒーを淹れるという方は、環境による多湿やられの心配が無いとも言えませんが
出し入れによる結露の心配が無い分下手に冷蔵保存するより良いと言えます。
日当たりの良さ、室温があがりやすい、湿度があがりやすい、又はその全てに於いて逆
冷蔵冷凍庫の台数、物の入り具合、開閉の頻度、性能のさ 等々と
環境は様々。ですので密封した上で「冷暗所」とお答えしているわけです。
焙煎後1週間ほどはガスを多く放出します。2周目以降も緩やかにですが放出されていきます。
これは味、香り共に変化があります。
最初の2週間ほどは常温で、日々変わっていく豆の状態を楽しみながら、それ以降は予め分けて冷凍保管しておいた豆を楽しむ。
という保管方法もあると思います。
上記を参考に、環境に合った自信が納得のいく保管方法を探ってみてください。
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